地震が起きた後、SNSでは「そういえば犬が落ち着かなかった」「猫が騒いでいた」といった、ペットの行動を振り返る投稿が見られることがあります。
こうした動物の“異変”と地震を関連づける声は、たびたびネット上で話題になります。
また、2025年7月30日に発生したカムチャッカのマグニチュード8.7の地震を受けて、地震とペットの異常行動の関係に再び注目が集まっています。
背景には、日本を含め世界各地で地震活動が活発化していることへの関心の高まりがあるのかもしれません。
そんな中、「動物の行動は地震の前触れなのでは？」という声がSNSでも広がっていますが、はたしてその真相は…？
この記事では、ペットの異常行動と地震の関係性について、実際の事例や専門機関の見解、ネットで話題の“地震の法則”まで、事実に基づいてわかりやすく解説していきます。
最近の地震、多すぎませんか？
2025年に入り、日本だけでなく世界各地で大きな地震が頻発していますよね。
たとえば、ロシア・カムチャッカ半島ではマグニチュード8クラスの地震が発生し、一部で津波注意報も出されました。
これほど大規模な地震が続くと「次は日本では？」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
日本では、少し前までトカラ列島で地震活動が活発化していたことが記憶に新しいですが、最近ではその揺れが落ち着きを見せています。
一方でその時期を境に、長崎や北海道、和歌山、三重、紀伊水道周辺、岡山、島根など、これまであまり地震が注目されてこなかった地域でも有感地震が増えており、専門家の間では、地震の“分布の変化”が指摘されています。
また、火山性地震も全国的に増加しています。
箱根山（神奈川県）や九州の霧島連山などでは火山性微動や小規模噴火が観測されており、「地震と火山活動は連動しているのでは」との声も。
動物が地震を予知する？SNSで話題の“異常行動”
SNSでは地震の後「うちの犬が急に吠え出した」「猫が落ち着かない」「金魚が暴れている」など、ペットの異変と地震を結びつける投稿が増えています。
特に地震の直前や直後になるとX（旧Twitter）やInstagram、YouTubeショートなどに、
「昨日から犬が吠えて落ち着かなかったけど、今朝地震が…」
「猫がずっと隅に隠れてて、変だなと思ってたら地震が来た」
「金魚が暴れてたけど、まさかの震度5」
…といった内容の投稿がタイムライン上に一定数現れるのは事実です。
ただし、それが「予兆だったかどうか」は科学的に不明なので、「そういう声が見られる」「体験談としてシェアされている」といった感じです😉
でも実はこれ、過去の大地震の際にもたびたび報告されてきたことなんです。
👉 2011年の東日本大震災前には「犬が前日に鳴き止まなかった」
👉 阪神淡路大震災の直前にも「ペットが家中を駆け回っていた」
などの証言があります。
こういう報告は「宏観異常現象（こうかんいじょうげんしょう）」と呼ばれています。
宏観異常現象（こうかんいじょうげんしょう）とは？
宏観現象（こうかんげんしょう）とは、地震の発生に先立って、人間や動物が目に見える形で感じ取れる異変のことを指します。
「専門の機器による観測」ではなく、あくまで“人間の五感”で気づける自然現象という意味で「宏観＝マクロに観察できる」現象と呼ばれます。
📋 代表的な宏観現象の例
宏観現象には、以下のようなものが含まれます。
🐾 ① 動物の異常行動
👉 犬が異常に吠える、外に出たがる
👉 猫が家具の隙間に隠れて出てこない
👉 鳥や魚が一斉に動き出す、逃げる
👉 金魚が一斉に一定方向を向く
👉 昆虫（アリ、ミミズなど）が大量に地上に出てくる
➡️ 動物は人間よりも、微弱な地面の振動（P波）や電磁波、地中のガス放出などに敏感だと考えられています。
🧱 ② 井戸水の変化や濁り
👉 井戸水の水位が急に上がる／下がる
👉 水が濁ったり、硫黄臭がする
➡️ 地震前には、地下構造の歪みや断層のズレにより、地中の水流や圧力が変化することがあり、その影響が井戸に現れるとされます。
☁️ ③ 発光現象・地震雲
👉 地震前に空に奇妙な形の雲が現れた
👉 地面や空に光（地震光）が見えた、など
➡️ 地震雲や地震光については未解明の点も多く、科学的にはまだ証明されていない現象です。
一部の研究では、「断層の摩擦による静電気放電」や「岩石が割れるときに放出される電磁波」が原因という仮説もあります。
🧪 科学的な位置づけと課題
地震の宏観現象は、古くから記録に残されてきた現象であり、たとえば中国では紀元前から「地震前に動物の異常行動があった」とする文献があります。
ただし現代の地震学では、以下の理由から“地震予知の手段”としては不十分とされているようです。
👉 科学的に再現性がない
👉 認知バイアス（揺れた後に「そういえば…」と思い出す）
👉 一般生活でも起こりうる行動との区別が困難
たとえば、猫が隠れるのは日常的な行動でもあり、それを「地震の前兆だった」と解釈するのは後付けの可能性もあるからです。
💡 地震の宏観現象がそれでも注目される理由
一方で、東日本大震災や阪神・淡路大震災の前に多くの宏観現象が記録されたことも事実です。
そのため、近年では「宏観現象をビッグデータとして収集・分析し、何らかのパターンを探る」という試みも行われています（例：地震予測アプリや市民レポート収集など）。
地震の宏観現象って科学的に見るとどうなの？
では本当に、動物は地震を予知できるのでしょうか？
結論から言えば、現時点では科学的な裏付けは十分ではありません、という感じです。
東京大学地震研究所や防災科学技術研究所の見解では、
> 「動物の異常行動と地震の因果関係は統計的に有意とまでは言えない」
とされています。
動物は人間よりも地中の振動や電磁波の変化に敏感である可能性は否定できませんが、それが地震の“予知”行動であるかどうかは不明です。
一方で、地震前に微弱な地電流やガスの発生があるという仮説もあり、動物がそれを察知している可能性を探る研究も進行中です。
ネットで話題の“地震の法則”を検証
SNSやネット掲示板では、「次の大地震はここだ」といった投稿が定期的に話題になります。
よく知られているのは以下のような“法則”です：
👉 トカラの法則
トカラ列島で群発地震が起きたあと、日本列島で大きな地震が発生する傾向があるとする説
👉 新燃の法則
新燃岳（鹿児島県）が噴火すると、数週間以内に別の大地震が起きやすいという主張
👉 バヌアツの法則
南太平洋のバヌアツ諸島周辺で地震が起きた後、日本周辺でも連動するように大きな地震が発生することがあるという噂
👉 ニュージーランドの法則
ニュージーランドで大地震が起きると、数週間以内に環太平洋火山帯で連動地震があるという説
これらはいずれも“ネット民発”の経験則的なものですが、明確な科学的根拠は存在していません。
ただし、地球の地殻活動が連動しているケースもあり、「まったく根拠がない」とも言い切れない点に人々の関心が集まっています。
実はわたしはちょこっと信じているというか、一応ここで大きな地震があった時には備蓄品を見直したりなど、防災を見直すきっかけにしています。
大切なのは「行動」に変えること
「動物が吠えているから」「バヌアツで揺れたから」…といった情報だけで不安になっていては、逆に心身に悪影響を及ぼしかねません。
実際に重要なのは、こうした“兆し”を目にしたときに、「防災の意識を高めるきっかけ」として活かすことです。
👉 家の備蓄は足りているか？
👉 家族で連絡手段・集合場所を決めているか？
👉 ペット用の避難バッグを整えているか？
こういったことを今一度見直すタイミングとして、「異常行動」や「法則」も防災の入り口にしていきましょう。
まとめ
地震の前にペットがいつもと違う行動を取る、そんな話は古くから語られてきました。
SNSでも地震発生後に「そういえばうちの犬が落ち着かなかった」「猫が隠れていた」といった投稿が見られることは事実です。
しかし、科学的に見れば、ペットの異常行動が地震の予兆として確実に役立つという証拠はまだありません。
動物が地震前の微細な振動や環境の変化を感じ取る可能性はありますが、日常のささいな変化との区別が難しく、個々の行動を地震のサインと結びつけるのは慎重さが求められます。
また、日本だけでなく世界各地で地震活動が活発化し、火山性地震も増えている現状から、多くの人が地震に対する関心を高めています。
ネット上で語られる「トカラの法則」や「新燃の法則」などの地震にまつわるさまざまな説もありますが、科学的に証明されているわけではなく、これらは一つの参考情報として捉えるのが良いでしょう。
大切なのは、ペットの行動に限らず、地震に対する備えを日頃からしっかり整えておくことです。
異常を感じたときは冷静に対処し、専門家の情報や公式発表を参考にすることが安心につながります。
これからも、科学的な視点を大切にしつつ、みなさんの大切なペットとともに安全に過ごせるよう、正しい知識を持って備えていきましょう。
